SUITS/スーツ

マイク&ハーヴィー スーツの着こなし術

マイク・ロス

今どきの若者スタイルから
徐々に成長していく変化に注目

スーツを着る社会に属していなかったマイクは、最初5着で500ドルという安価なスーツを着ています。シャツもボタンダウンだったり、極端に細いナロータイをはめていたりと、まだビジネスの世界にはミスマッチなスーツスタイル。それはハーヴィーに「ベストって必要?」と問いかけることからもわかるように、スーツを単なる仕事着としてしか認識していなかった証拠でしょう。実はこれ、日本のフレッシャーズにも多く見られる傾向。しかしハーヴィーが語るように、クラスが存在する社会では着ているものでその人が値踏みされます。実際にハーヴィーのパートナーとして仕事を進めていくにつれ、着ているもののクオリティがアップしていることが画面からもよくわかります。とはいえ、ハーヴィーのスタイルをそのまま真似るのでなく、現代の若者らしいタイトなスーツで、シャープなシルエットを強調しスタイルの良さをアピールしています。さらに活動的でバリバリと働くために動きやすさを追求したスーツを着ることで好感度もアップ。今後どんな進歩したスーツスタイルを見せるのか注目ですね。

ハーヴィー・スペクター

成功した男性像のすべてが
詰まったスーツの着こなし

ハーヴィーのスーツ姿には、現代のアメリカで成功した男の嗜好が如実に表現されています。基本的にスーツはスリーピース。伝統的でクラシックなスタイルですが、デザインがピークドラペル(※3)で幅が広いなど、男性的でありながら非常にモダンなスーツです。このスーツはトム・フォードのもので、ビジネスで成功した精力的なエグゼクティブから選ばれる、まさに今一番旬なブランド。そこにレジメンタルやソリッド系のタイと白もしくはストライプシャツを合わせて、Vゾーンで落ち着きのある信頼感を演出しています。さらにワイドスプレッドな襟型にノット(タイの結び目)を大きく結び、力強さもアピールしています。ある意味、嫌味なくらい過剰にお洒落で、ルイスに「ポン引きのようだ」なんて揶揄される場面もありますが、確かにヨーロッパの上流階級の好むクラシックなスタイリングとも違います。弁護士として成功し「第一印象が命」と言い切る、押しの強いハーヴィーの美意識が良く現れたスーツスタイリングです。

【用語解説】 ※1 ディンブル・・・・・・タイの結び目下にあるくぼみのこと。これをきれいに作ることでタイが立体的に見え、引き締まったVゾーンをお洒落に演出できる。 ※2 TVフィールド・・・・・・チーフの挿し方ひとつで、チーフの端をまっすぐ横に納めたシンプルなスタイル。TVキャスターが好んで用いたことが名前の由来とされる。 ※3 ピークドラペル・・・・・・ジャケットのラベルの先端が上を向き剣のように尖った襟型のこと。タキシードなどに多く用いられ、フォーマル度が高いデザインとされている。