まず、このドラマの脚本と企画を手掛けたアーロン・コーシュが、自分が作りたいドラマに関する明確なビジョンを持っていたということだろう。彼のこだわりは、キャラクターだ。ドラマは、キャラクターに共感できるものになっている。各エピソードで扱われる事件や出来事が、彼らのキャラクターや関係性を映す鏡になっているんだ。
加えて個性的な俳優のアンサンブルも魅力だろう。現場ではみなが一丸となってよいドラマができていると感じている。撮影の外でも我々は本当に仲がいいから、撮影時にお互いをからかったり、小バカにしたり、心を通わせあったりするのを非常に楽しんでいるんだ。みんなの相性がいいおかげで、ドラマに、いいリズムが生まれている。
視聴者は、スタイリッシュなスーツや、強い女性も見たいのかもしれないね。このドラマに出てくる女性はみな非常に強い。男性よりも強い。それを見るのもとても面白いんじゃないかな。

このドラマには、キャラクターを深く理解して演じるチャンスを与えてもらった。 ハーヴィーを演じ始めた頃、うっかり足元をすくわれそうになった。私は当初、ハーヴィーの全体的な人物像をあまりにも早い時点で決めすぎていた。
アーロン・コーシュと面白い会話をしたんだ。テレビの登場人物と映画の登場人物の比較について、だ。私が映画の登場人物について理解する時は、まずはその人物のスタート地点について考える。例えばA地点から始まりB、C、Dを経てEで終わる、みたいにね。映画では２時間半の間に変化が起きる。登場人物の変化も見えるし、その人物の全体像も見られる。でも、アーロンが教えてくれたのは、テレビのキャラクターは非常にゆっくりと変化するということだった。映画のように早い変化はない。なぜならテレビの場合はたっぷり時間があるから。だからゆっくりと進展するし、登場人物はゆっくりと成長する。
ハーヴィーも、ゆっくりと変化し始めるんじゃないかな。私はハーヴィーが大好きだ。彼の弱みを見るのも好きだ。だから、彼の背景も含めて彼のことを掘り下げていって、もっと彼のよろいがはがれるのを期待している。

ハーヴィーの人物像は、アーロン・コーシュ、衣装デザイナー、【第１話】と【最終話】の監督のケヴィン・ブレイ、そして私が意見を出し協力しあって完成した。我々はハーヴィーを真に男に好かれる男で、現代社会に生きる、ケーリー・グラントとスティーブ・マックイーンを足して２で割ったような男にしたんだ。彼は不屈の男で意欲的。そしてテイラーメイドのいいスーツを着るところなどはクラシック。プロフェッショナル。そして、モダン。メトロセクシャルなウォール街の男、現代のニューヨーク男っていう感じかな。見た目が重要だと思っているから、着るものにいつも注意している。
私が思うに、彼は恐らく人生である女性に出会ったんだ。彼女はファッションやデザインのことを彼に教えた。やがて２人は別れるが、彼はその後、ファッションが仕事の成功や信頼を得るのに役立つと実感したんだ。
髪形をオールバックにしたのは私のアイデアだよ。ケーリー・グラントみたいな男っぽい髪型にしたかった。だが、それはハーヴィーのキャラクターにしてはいかめし過ぎると、徐々に、だがハッキリと気づいた。あまりに堅物過ぎるイメージになってしまったから、もう少しだけソフトにしようと考えたんだ。だから、今シーズンの後半で、彼の髪形を少し変えたんだよ。

マイクは、ハーヴィーが若かった頃を投影しているんだと思う。ハーヴィーは、自分がいた世界から脱出するチャンスをジェシカからもらった。セカンド・チャンスをね。このドラマはセカンド・チャンスについてのメッセージが多く含まれていると思う。それに、他人に対する思いやりに関するメッセージもだ。マイクは窮地に陥って判断を誤りはしたが、本当は善良な人間で非常に頭も良く、セカンド・チャンスを与えられるべき奴だということがハーヴィーにはわかった。恐らくハーヴィーにもかつてそんな時があったから、マイクに若かりし頃の自分を重ね合わせたんだろう。
これはハーヴィーの恩返しのひとつの方法なんだ。そう考えると、多くの人がハーヴィーに欠けていると思っている、思いやりの心を感じることができるだろう？
彼は、既成概念に囚われない考えの持ち主で、それが成功に繋がると信じている。だから、アソシエイトを雇わなければならないのであれば、マイクがいいと思った。ルイスみたいなタイプ･･･ハーバード卒のお決まりの奴らにはうんざりしていたからね。
自分みたいな男を雇いたいと思っていたから、ハーヴィーは、マイクを雇ったんだ。

私の奥さん※に出てほしいかな。そうなったら楽しい。強い女性役で、ハーヴィーに１つか２つ、とても大事なことを教えるんだ。